ソーシャルメディアはインストラクション情報をどう変えるか


インストラクション情報は行動に指針を与えるための情報を指す。主に使われるのは口頭、本だったのだが、ウェブサイトが使われる例が増えている。不景気の影響もあり本が売れなくなって来ている中、書籍の編集者はウェブ化を迫られることになる。ウェブ化の方向は、e-commerceサイトを作り直接収益が得られるようにする方法、既存のコンテンツを使ってウェブからの広告収入を得るなどのやり方がある。もう一つのアプローチはなんらかの形で読者を組織する方法だ。

読者や消費者を組織するやり方は「CRM」と呼ばれた。CRMの弱点の一つは、顧客でない人にアプローチができないという点だった。ドラッカーはこれを所与のものと考え、やはり現場に出て顧客を観察しなければならないと言っている。しかしオンラインコミュニケーションはさらにここから先に進んでいる。ソーシャルメディアを通じて顧客のネットワークから宣伝してもらうというやり方を取るウェブサイトが増えて来た。

前回のエントリーから、情報サイクルのどこをソーシャル化すべきだということが分かったので、今回はさらに歩を進めて、ソーシャルメディアの立場から具体的に何ができるかを考えてみたい。参考資料としてFacebookのドキュメントを使う。

Facebookのドキュメントは機能を3つに分けている。

  • Registration(登録する)
  • Engagement(エンゲージする)
  • Growth(成長)

登録

このパートは従来の会員化にあたる。まず自前で会員システムを作り、そこにFacebookのIDを割り振る方法が一つある。この他に会員情報をFacebookに登録してもらい、必要な情報だけを集めて行く方法がある。後者では個人情報収集に関する面倒なところをすべてFacebook側が担当してくれる。一方、Facebookは最近プライバシーに関する問題を抱えているので、ポリシー変更が頻繁に起こる。たとえばE-commerceでは顧客属性の管理と住所などはシステム側で管理すべきかもしれない。

従来のCRMでは、ここから先の作業は全て自前で行う必要があった。もちろん宣伝力のあるメディアではソーシャルメディアを使うとここから先に広がりを持たせることができる。

エンゲージメント

エンゲージメントは、よくマーケティングで使われる言葉だ。自分で使っている商品は単なる消費物なのだが、人に薦めると「エンゲージメント」が生まれる。エンゲージメントがあるから、人に薦めたくなるのか、推薦したからエンゲージメントが増すのかは議論が分かれるところだろう。

場合によっては、自分の価値観を商品に重ねあわせることでエンゲージメントが増す場合もある。人と重ねることでもエンゲージメントは生まれる。好きなタレントがCMをしている商品を特にひいきして買う場合などがこれにあたる。つまりエンゲージメントは、製品そのものに対しても起こりうるし、周辺の情報(たとえば人やストーリーなど)を通しても生まれる可能性があるのである。

Facebookは2つの方法でエンゲージメントを表現する手段を準備している。一つはアクティビティと呼ばれる情報で、サイト内で何をしているかをFacebookに流す(これはTwitterに似ている。ある意味環境情報と言える)やり方。もう一つはLikeという商品そのものをお薦めするやり方だ。

多分商品そのものを薦めてもらうのは難しいこともあるのではないかと思われる。しかしたとえば環境問題への取り組みなど「社会的に正解とされている」記事は推奨しやすいかもしれない。もっとエンゲージメントが高まると、自分で参加したいと思うようになるだろう。

「エンゲージメント」マーケティングと比較できるマーケティングはインセンティブ型のマーケティングだ。「応募すると毎週100名にXXプレゼント」はインセンティブを利用する。インセンティブは即効性がある。実際に応募を通して行動させることでエンゲージメントを増しているとも考えられる。しかし即効性がある分だけ、インセンティブが切れたときに効果が失われやすい。エンゲージメントは行動(たとえばクリックだけであっても)を伴い、持続性がある。

特に価格に対して過敏になっている商品は、どうエンゲージメントを高めるかを考えなければならない。「これが正解」と言えるものはないのだが、ソーシャルサイトを使ったエンゲージメントの表現はその一つであろうと思われる。

もう一つのエンゲージメントの表現方法はイベントに参加することだ。iPadの発売日に行列を作り、それをTwitterやUStreamで流すというのが、こうしたエンゲージメントの表現方法になっている。

成長

エンゲージメントが得られると、その情報が「Like!」(日本語では「いいね」と表現されているようだ)としてFacebookに掲載される。これが友達のページに表示される。リンクがついていてサイトへと誘導される。多分クリック率はそう高くないのだが、あるきっかけでその商品についての話題が出るかもしれない。少なくともインプレッションを稼ぐ事はできるわけだ。

目標は、サイトに多くの人を呼び込み、登録してもらうことだ。このためにはエンゲージメントをいくつかの段階に分けるのも手かもしれない。

  • お薦めをするためだけに、Facebookへの登録をしてもらう。
  • ニュースレターの為にメールアドレスを取得する。
  • 買い物をするときには、ニュースレターの情報に買い物に必要な情報を足す。さらにこの時にFacebookのアカウントがあればそれを登録しておく。

会員とその先

今回の考察では、まずインストラクションを目的を持った基本的な技能の集まりと捉えた。ある技能を習得すると、それを使って何かをやってみたくなる。そして、やり方が分からないときには誰かと相談したいと考える。その内「書き手」「編集者」「読み手」の関係性が壊れてくる。これがソーシャルになったサイトの第一段階だ。

次の作業はこれを広げて行くことだ。広げるためにソーシャルサイトは「エンゲージメント」というコンセプトを使う。さらに社会性が強い。人に推奨することで自らのエンゲージメントが高まるのだ。

エンゲージメントの対象は何も商品そのものである必要はない。たとえば、その商品を使って作った作品とか、関連する記事がエンゲージメントの対象になることもあり得る。

エンゲージメントはヒトの社会性欲求に根ざしている。マーケティングが価格やスペック依存に陥っている場合には、ぜひ試してみるとよいのではないか。

  • よいものを広めたい。
  • 美しいものを広げたい。
  • こうした良くて美しいコミュニティの一群であるということを他人に伝えたい。
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ソーシャルメディアはインストラクション情報をどう変えるか への1件のフィードバック

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